今年に入っての生前整理の案件で、延命治療で辛い想いをされている話を2件ほど聞きました。
どちらもゴミ屋敷状態のおうちの片付け案件でありまして。
ゴミ屋敷状態は、ご老人の方には良く見られる傾向で、どんなものでも捨てずに持っておくため、ゴミが貯まりに貯まってしまう状態です。
親が食べ物を口から食べられなくなってしまったため、「胃ろう」という胃から、流動食などを流し込む、いわゆる「延命治療」を行っている事でした。
実際の話では、その親御さんの子供さんたち、といっても60~70歳代の方ですが、3名居る中延命治療を望まない方が2名、望む方が1名居たそうです。
親の生き死にを子供達に託すというのは、託された子供にとっては非常につらい決断を強いられるようです。
こういった場合、多数決とはならないようで、生かしてあげたいという声が一つでもあると、その声が通ってしまうようで、親御さんの延命治療=胃ろうが決まったようです。
残された方は、見てるのに忍びないと、気持ちを絞り出すよう声を震わせていました。
我々業者に対して、こんな身内の話をされるのは、余程苦しく悲しい気持ちでいっぱいなのだからだと思い、「そうですか、それは悲しいですね」と言うほかありません。
老いは、全ての人に平等にやってきます。
そして意外な事に、認知症も平等にやってきます。
これまでに私どもが請け負ったゴミ屋敷片付けでは、お坊さんや校長先生、著名の作家さん、市議会議員の先生などがあります。
自分だけは大丈夫などと思わないで下さい。
老いや認知症は誰にでも平等にくるという事は真実です。
老いを感じたら、どうぞエンディングノートにご自分の意識をご記入下さい。
特に延命治療の点は、よく考えてご記入下さい。
延命治療の決断を託された家族は混迷を極めるし、またその決断に対し後悔を持つものです。
本人の意思が伝われば、「親父がこう思ってるなら、こうしてやろうよ」と、延命治療に関わる家族も救われるところがあると思います。
生前整理の現場をよく踏んでいるものとして、老いを感じられた方々に対して発信してみます。
「老いを感じられたら、エンディングノートに延命治療の有無をご自分の意思として記入して下さい。そうする事は、何なのか?
それは、家族に対しての思いやりなのです。」